内閣府の令和6年版高齢社会白書によると、一人暮らしをする高齢者(65歳以上)は男女ともに増加傾向にあるということが明らかになりました。
一人暮らしの高齢者は、1980年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%でしたが、2020年には男性15.0%、女性22.1%とその割合が男女共に大幅に増えています。
更に、2050年には、男性26.1%、女性29.3%となるという予想さえあります。
高齢で一人暮らしになると、持ち家を売ってコンパクトなマンションへ移りたい、セキュリティや利便性の理由から、郊外から駅に近いマンションへ住み替えたいと思われる方も多いと言います。
そこで、今回のコラムでは高齢者が賃貸マンションで一人暮らしをする際の3つのポイントをご紹介します。
参考:『第1章 高齢化の状況(第2節 4)』
参考:『【50~60代】老後の住み替えの選択肢は?メリットと失敗しない3つのコツ』
高齢者見守りサービスという選択肢も
高齢者が賃貸マンションを借りるのが難しい理由とは?
「高齢者はマンションを借りにくい」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実際、先にご紹介した内閣府のデータによると、貸主の約7割弱が「高齢者の入居に関して拒否感を感じている」と回答しています。
その理由として以下があると言われています。
1.健康への不安
高齢者が一人暮らしをしている場合、病気で床に臥せてしまった場合や、怪我などで動けなくなるなど孤独死につながるリスクが懸念されます。
しかも、単身だと、そのような異常をどうしても周囲から気付かれにくいです。
暫くしてから発見された場合、特殊清掃だけでなく場合によってはリフォーム工事も必要になります。
加えて事故物件となり、次の入居者が決まりにくくなる可能性もあります。
貸主としては、なるべくこのようなリスクを避けたいため、健康な高齢者であっても、入居に対して慎重になる傾向があります。
2.金銭面への不安
高齢者の場合、支払い能力への不安から、賃貸を断られることもあります。持ち家と土地を売って、コンパクトな賃貸マンションに住む場合は、資金力を証明できるでしょう。
ですが、特に収入が年金のみで、十分な貯金がないような状況である場合は、家賃の支払い能力が懸念され入居を断られることがあります。
3.連帯保証人もしくは家賃保証会社の利用への不安
賃貸マンションを借りる際には、入居者が家賃を滞納した際の立替を目的とした、連帯保証人もしくは家賃保証会社(賃貸保証会社)の利用が必要です。
いずれを利用するかは、基本的には賃主か不動産会社が決めますが、一人暮らしの高齢者は、親族と疎遠になっているなど、連帯保証人を立てにくい状況にあることもあります。
その場合、家賃保証会社という選択肢があるものの、入居者が保証料を支払う仕組みなため、金銭的な負担がかかります。
その上、高齢者の場合、経済状況によっては、家賃保証会社の入居審査が通りにくいという現状があります。
このような理由から高齢者は賃貸マンションに入居できないという可能性があります。
参考:『賃貸で孤独死があった際の対処法は?費用や賃貸借契約の取り扱いも解説|エンディングノートも参考に』
参考:『賃貸保証会社(家賃保証会社)とは?仕組みとメリット、デメリット』
高齢者が賃貸マンションを借りる際の3つのポイントとは
上記のような課題があるものの、以下3つのポイントを押さえることで、高齢者でも賃貸マンションを借りられる可能性を高めることができます。
1. サービス付き高齢者向け賃貸マンションを選ぶ
サービス付き高齢者向け賃貸マンションは、単身・夫婦の各高齢居住者が独立して暮らせる住まいです。
緊急通報装置が設置されていたり、サービス提供のためのケア専門家等が24時間常駐している住宅もあります。
さらに、夜間は外部の警備会社に委託している住宅もあるのでセキュリティ面が気になる場合はそのような住居を選ぶのが望ましいでしょう。
また高齢の住居者同士で交流の場が設けられていることもあり、新たな人間関係を構築しやすく互いに見守りができるというメリットもあります。
現在、自治体によっては、そのような住居の供給促進のために補助金を出しています。
例えば、サービス付き高齢者向け住宅は、東京都も積極的に推奨をしており、2030年度末までに33,000戸の供給を目指しています。
よって今後、一人暮らしの高齢者でも賃貸マンションを借りやすい環境になることが期待されています。
2.家賃債務保証制度を利用する
家賃債務保証制度は、高齢者住宅財団が連帯保証人の役割を担うことで、貸主は「貸しやすく」、 高齢者は「借りやすく」するためのシステムです。
高齢者住宅財団は、厚生労働省や全国の自治体などの支援をもとに、高齢者の住生活の向上や居住の安定、福祉の増進を目的として1993年に設立された財団法人です。
対象は60 歳以上、または要介護・要支援認定を受けている高齢者です。例えば2年間の保証の場合、月額家賃の 35%が保証料です。
ですので、月額家賃が 10 万円の場合、保証料は 35,000 円となります。保証料は、入居者の負担となりますが、「高齢なため自立して生活するための住まいを借りられない」という事態を避けることができます。
3.家族が見守っていることを伝える
このような高齢者向けの住居や制度を利用するほどではないという方に、お勧めしたいのが、貸主に家族が見守っていることを安心材料として提供することです。
先にお伝えしたように、高齢者は、体調を崩したり病気になったりするリスクが高くなるため、健康への不安から賃貸への入居を断られることがあります。
ひとり暮らしの高齢者であっても、家族が見守っていれば、万が一のことがあっても早期発見が可能なため、借りられる可能性が高まります。
しかしながら、「電話やメールで連絡をとって毎日安否確認をしている」と貸主にただ伝えても説得するのは難しいかもしれません。
見守りサービスの利用など、実際に見える形で家族が緊急対応をしていることをエビデンスとして伝えると、貸主が安心する可能性が高まります。
しかしながら、賃貸で見守りサービスを利用する場合、工事が必要なものは導入が難しいでしょう。
そこでお勧めしたいのが、WiFi環境さえあれば、初期工事不要で手軽に導入できる『ひとり暮らしのおまもり』です。
参考:『サービス付き高齢者向け 住宅の供給促進』
参考:『高齢者が賃貸住宅に住むコツや選び方は?』
参考:『高齢者が賃貸物件を借りるのは難しい?借りにくくなる理由とは』
参考:『家賃債務保証制度のご案内』
参考:『高齢者住宅財団』
『ひとり暮らしのおまもり』とは
『ひとり暮らしのおまもり』は、日常生活で1日に1回は開けるトイレのドアなどにセンサーを取り付け、そこが一定時間開かない場合(5~24時間で設定可能)に見守る側のアプリに通知が行くという仕組みです。例えば「今日は、出かけてないみたいだけど大丈夫かな。」と心配な場合は、玄関のドアにセンサーを取り付けておくと、外出していないという異常を知ることができます。
更にオプションの『ケアウォッチ』があり、急に具合が悪くなった、転んでしまったなどの緊急事態が起きた時に、見守られる側が左右についているボタンを同時に押すと、見守る側のスマホに大きな音でアラートを送ることができます。
ですが「賃貸マンションを借りるためだけに、月々あまりコストをかけたくない・・・。」と思われるのではないでしょうか。『ひとり暮らしのおまもり』は、月額費用がかからず9,240 円(税込)と低額で手軽に始められるサービスです。
オプションのケアウォッチも3,960 円(税込)でつけることができます。
さらに、『ひとり暮らしのおまもり』は、貸主のオーナー様や管理会社様向けの法人用システムも現在開発中です。
高齢でも安心して自立した生活ができるように『ひとり暮らしのおまもり』を検討してみてはいかがでしょうか?