賃貸アパートやマンションに無料Wi-Fi設備を導入するべき3つの理由

賃貸アパートやマンションに無料Wi-Fi設備を導入するべき3つの理由

一部の地域では、少子高齢化や住宅の供給過多が影響し、賃貸物件の空室率が高止まりしています。総務省の令和5年「住宅・土地統計調査」によると、2003年に全国で367万戸だった賃貸用物件は、2023年に443万戸まで増加しています。そのような状況の中、空室対策のひとつとして注目されているのが、無料Wi-Fi設備です。今回のコラムでは、無料インターネットの種類と、賃貸アパートやマンションに無料Wi-Fiを導入するべき理由を解説します。

(参考:『住宅土地統計調査から読み解く実際の空室率と賃貸住宅の需要』)

ひとり暮らしのおまもりBizという選択肢も!

『インターネット無料』賃貸物件の種類

賃貸物件における「インターネット無料」の仕組みには、いくつかのタイプがあります。ここではその違いについて簡単にご紹介します。

インターネット無料物件の種類 備考
部屋までインターネット回線がきている物件 入居者がWi-Fiを使用したい場合は、ルーターを自分で用意する必要がある。
【Wi-Fi無料】各部屋にWi-Fiルーターがついている物件 大家側でルーターを各部屋に設置。住人は入居した日からWi-Fiを使用できる。
 【Wi-Fi無料】共有部分にWi-Fiルーターがついている物件 ほかの居住者とネットワークを共有しなければならないため、セキュリティ面には注意が必要。

つまり、インターネット無料が必ずしもWi-Fi無料ではないということです。「インターネット無料であれば十分ではないか」と思われるもしれません。ですが、総務省のデータによると2023年の個人のインターネット使用状況のうち、端末別のインターネット利用率は、スマートフォンが72.9%、パソコンが47.4%と圧倒的に上回っていいます。スマートフォンでインターネットを利用する場合は、当然のことながら、有線ではなくWi-Fiでの利用が前提となりますので、「Wi-Fi無料」である方が、賃貸物件としてのニーズが高いと言えます。

しかしながら、無料Wi-Fiを導入するには、当然のことながら、初期費用と月額費用がかかります。あくまで参考までですが、ネットワーク事業を営む株式会社Ai.Connectは以下を一つの目安として示しています。

[Wi-Fiを導入工事費用目目安:木造2階建・10戸のアパートを想定した場合]

・工事費用:約3〜40万円
・月額保守費用:約1〜3万円
*ルーター代別途(@約1万)

このような導入コストを踏まえたうえで、賃貸物件に無料Wi-Fi設備を整えることが、賃貸経営にどのような価値をもたらすのかについて、次に検証してみたいと思います。

参考:『第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題』/『【大家さん向け】マンション・アパートへの無料Wi-Fi・無料インターネット導入に関して徹底解説』/【大家さん向け】賃貸マンションに無料wifiを導入するメリットや導入方法を解説』)

無料Wi-Fiを導入すべき3つの理由

「本当に必要なのかな?」と迷われる大家さんも少なくありませんが、実は無料Wi-Fiには賃貸経営を支える大きなメリットがあります。ここでは、その理由を3つに分けてご紹介します。

1.『インターネット無料』へのニーズが高い

毎年、全国賃貸住宅新聞で発表される 『この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる人気設備ランキング』で2024年もインターネット無料が単身向けとファミリー向け賃貸の双方で一位となり、10年連続でした。
逆に『この設備がなければ入居が決まらないランキング』では、インター
ネット無料単身者向けでは4位でした。このようなデータから、インターネット環境が整っている方が、空室予防対策になるだけでなく、家賃を高く設定できるということが明らかになりました。

2.現状入居者の退去防止

株式会社リクルートの調べによると、2024年の新築物件ではインターネット無料の割合が89.8%、築1~5年の物件でも85.4%(前年84.4%)と上昇しており、新築・築浅物件では引き続き高い水準を保っています。

築年別 2024年 賃料とインターネット無料率
経験年数 賃料(万円) インターネット無料率
平均 4.7 37.5%
新築 6.7 89.8%
築1~5年 6.5 85.4%
築6~10年 6.0 60.4%
築10~20年 5.3 25.5%
築20~30年 4.5 31.6%
築0年以上 3.7 33.9%


(●調査期間:2023年7月13日、2024年6月1~3日 ●調査対象:SUUMO掲載物件、一戸建てを除くRCおよびアパート、ワンルーム・1K・IDK)

築年数が経過している物件で、なおかつWi-Fi環境が整っていない場合、入居者がより快適な条件を求めて退去する可能性が高まります。こうした状況においてWi-Fiを導入することは、入居者の利便性や満足度の向上につながり、結果として退去防止にも効果が期待できます。

3.高齢化社会に対応した安定した賃貸運営を実現できる

高齢者の一人暮らしが増加する中、「既存入居者の孤独死による清掃や修繕コストが心配です」「高齢者の新規入居を受け入れるべきか悩んでいます」といったお悩みを、大家さんからお伺いする機会が増えています。
実際、警察庁の調査によると、2024年に一人暮らしの自宅で亡くなった方は7万6,020人にのぼり、そのうち76.4%(5万8,044人)が65歳以上の高齢者であったことが明らかになっています。
また、原状回復にかかるコストは、発見までの期間や部屋の広さなどによって異なりますが、「日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会」の資料によれば、孤独死が発生した部屋の特殊清掃費用の平均は381,111円、残置物処理費用の平均は235,839円とされています。さらに、孤独死が発生した物件では、マンションの資産価値が10〜30%程度下落するケースもあり、最悪の場合には50%下がった裁判例も報告されています。
こうしたリスクを未然に防ぐためには、高齢者の安否確認と早期発見の仕組みが不可欠です。そのための環境整備として、Wi-Fiの導入は、安定した賃貸運営と物件価値の維持に直結する重要な要素となります。Wi-Fiを活用することで、ひとり暮らしの高齢者をさりげなく見守るサービスを導入することが可能になるからです。

>関連記事はこちら『潜在的損失を防止!単身高齢入居者を受け入れるコスパのよい方法とは?プライバシーも保護!

(『10年連続!ネット無料が人気設備ランキング第1位に』/『インターネット無料物件にWi-Fiルーターは必要?Wi-Fi無料と何が違う?』『【基礎から解説】アパート・マンション経営でのインターネット導入にかかるコストは?効果は?』/『大家さん必見!アパート無料Wi-fiとは?設置工事と契約方法をご紹介』/『インターネット無料物件は全体の37.5%に。 新築では9割、築5~10年でも6割。』/『65歳以上の「孤独死」は5.8万人 24年、警察庁が初集計』/第7回孤独死現状レポート|日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会』/『孤独死の原状回復費用相場は?誰が支払うか、高額になるケースも解説

ひとり暮らしのおまもりBizとは

「ひとり暮らしのおまもりBiz」は、2022年に発売されたBtoC向け見守りサービス「ひとり暮らしのおまもり」を、法人向けに拡張したサービスです。複数の部屋や建物を一括で管理できるよう設計されており、「工事不要・カメラ不使用・低コスト・異常時のみ通知」といった従来の特長はそのままに、法人管理のニーズに合わせて最適化されています。
このように、Wi-Fi環境を整え、「ひとり暮らしのおまもりBiz」を導入することは、孤独死リスクの軽減と物件の資産価値維持に向けた、大家さんにとって非常に有効な選択肢と言えるでしょう。
高齢化が進む社会において、安定した賃貸経営を実現するためにも、Wi-Fiの整備とあわせて「ひとり暮らしのおまもりBiz」の導入をご検討いただくことをおすすめいたします。

  1. 工事不要の見守りサービス
  2. カメラ不使用:映像は撮らず動きだけを検知、プライバシーに配慮
  3. 低コスト:高額な初期費用など一切無し
  4. 少通知:異常があったときだけ通知、日常は静かに見守り
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