「自分の慣れ親しんだ家に住んでいたい」という思いは高齢になればなるほど強くなると言います。
内閣府が令和元年に行った調べによると、高齢者(60歳以上)の約半数が、最期を自宅で迎えたいと考えていると言います。
高齢者が「自宅に長く住みたい」と思う理由には、環境の変化に適応する体力的・精神的能力の低下にあると言います。
特に、高齢者が実家に住めなくなったことをきっかけに「急に弱った・・・」「急に年をとった・・・」ということを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、高齢者が住み慣れた実家に住めなくなることによる影響と、高齢でも自宅に住み続けることはなぜ重要なのかを解説します。さらには「親が実家に住めなくなって弱った・・・」と後悔しないために今すぐできる対策をご紹介します。
(参照元:「第3節 <特集>高齢者の住宅と生活環境に関する意識(5)」内閣府 令和元年)
高齢者見守りサービスという選択肢も!
高齢者が実家に住めなくなることで起こる影響とは
高齢者が住み慣れた環境を離れることで起こる影響は大きく分けて、医学的に認められているものと、個人的なものの2つがあります。
①医学的に認められている影響:入院関連機能障害
「入院関連機能障害」とは、入院中の安静臥床が誘因となりADLが低下することを言います。ADLとは、Activities of Daily Livingの略で、日本語で「日常生活動作」を意味します。具体的には、起居動作、移動、食事、更衣、排泄、入浴などがあります。
厚生労働省の資料によると、入院関連機能障害は70歳以上の全入院患者のうち30-40%に発生するというデータがあります。
超高齢化社会が進むにつれ、入院関連機能障害への対策が重要視される中、政府は医療機関に対して「A246 入退院支援加算」をインセンティブとして設けています。
具体的な評価点を、「患者の入院前・入院早期からの支援や退院時の地域関係者との連携」とすることで、患者が退院した後も住み慣れた地域で継続して生活できるためのサポートを推進しています。
(参照元:「入院関連機能障害(HAD:Hospitalization-Associated Disability)の 危険因子」2014 邑智郡公立病院組合公立邑智病院/「要介護者等の高齢者に対応した 急性期入院医療」厚生労働省)
②個々の活力への影響
高齢者が入院や施設への入居など、実家を離れたことをきっかけに以下のような目に見える変化が起きたというようなお話をよくお伺いします。
・おしゃべりだったのに、しゃべらなくなった
・何でも食べていたのに、食が細くなった
・活動的だったのに、自宅でじっとしていることが多くなった
・生き生きとしていたのに、急に老け込んだ
・社交的だったのに、人と会うのを面倒がるようになった
入院の治療により疾患は完治して退院しても、以前に比べて活力が目に見えて低下したというケースもあると言います。
もちろん、病気や怪我などの治療、重度の認知症などで住み慣れた環境を離れざるを得ない状況になることもあるかと思いますが、このようなネガティブな影響を考えると、できる限り住み慣れた環境を離れることがないように普段からできる対策をとることが重要と言えるのではないでしょうか。
(参照元:「高齢で弱ってきたから入院」で後悔する家族が続出するワケ」2019年12月 講談社 マネー現代/「多発する高齢者の「入院で悪化」 病院は対策とれず…」2017年10月/「認知症が一気に進む原因とは?入院の影響は?進行スピードの違いや対策を紹介」2023年10月)
高齢者が実家に住めなくなるきっかけとは
高齢者が実家を離れるきっかけとして、以下の3つが考えられます。
①病気・怪我による入院
内閣府の調べによると、高齢者(70歳以上)の入院原因で最も多いのは「脳血管疾患」で約15%を占めています。「脳血管疾患」とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳の血管のトラブルによって起こる病気の総称です。脳血管疾患は治療の遅れが命に関わる病気で、「時間との闘い」と言われています。
そのことから、「脳血管疾患の疑いがあれば、すぐに病院にきてほしい」という願いを込めたキーワード「FAST(ファスト)」が重要であると言われています。
【FAST】
FASTは脳血管疾患で頭文字を合わせたものです。
・Face:顔がゆがんでうまく笑顔がつくれない
・Arm:腕を同じ場所で固定できない
・Speach:うまく話せない
・Time:症状が出た時間を記録しすぐに受診
高齢者が一人暮らしをしている場合、自身で、顔の動きや話すといったことが困難な症状を自分で把握することは難しいです。また「これくらいの症状なんかで病院に行かなくても・・・」と思って家で様子を見ていているうちに症状が急に重篤化するケースも少ないないといいます。
②転倒がきっかけによる怪我
高齢になると筋力・バランス感覚の低下、血圧また心拍動の障害により転倒しやすくなると言います。しかも、一人暮らしをしている場合、転倒して起き上がれず、助けをすぐに呼べない場合、脱水症状や低体温など2次的な被害を生み、症状が重傷化する危険性もあります。
③パートナーの他界をきっかけに施設に入った
「高齢者の一人暮らしは危ないから・・・」と、パートナーの入院や他界をきっかけに、施設に入ったというお話をお伺いすることがあります。
その場合、本人の意思によるものと、家族からの勧めによるものがあるようです。
確かに、家族としては「施設に入った方が安心」と思われるかもしれませんが、本人がそれを望んでいない場合、先にご紹介したような影響も考えて、できる限りその意思を尊重することが大事だと言えるのではないでしょうか。
そこで、高齢者が住み慣れた実家にできる限り長く、そして安心して暮らせるように家族ができることとしてお勧めなのが「高齢者見守りサービス」の活用です。
(参照元:「平成26年版高齢社会白書(全体版)」内閣府 2017年/「脳梗塞になったら 〜その時、どうする?〜」社会医療法人 甲友会/「知っておきたい「FAST」~脳卒中の症状のお話~」2022年4月 岡山市立病院/「高齢者の転倒」MSDマニュアル)
「親が実家に住めなくなって弱った・・・」と後悔しないための高齢者見守りサービス
現在、様々な高齢者見守りサービスがありますが、「緊急事態に備えるとは言え、いつ起こるかわからない非常事態に対して、あまりコストをかけたくない・・・。」と思われるのではないでしょうか。
そこでお勧めしたいのが『ひとり暮らしのおまもり』です。『ひとり暮らしのおまもり』は、工事不要、月額費用無しで手軽に始められるサービスです。
日常生活で1日に1回は開けるトイレのドアなどにセンサーを取り付け、そこが一定時間開かない場合に見守る側のアプリもしくはLINEに通知が行くことで、生活の異変を通知する仕組みです。異常通知は5~24時間の間でアプリから自由に設定変更できます。
更にオプションでSOS発信ができる「ケアウォッチ」もあります。 「ケアウォッチ」は見守られる側が異常を知らせたい時に左右のボタンを同時に押すと、見守る側のスマホに大きな音でアラートを送るという仕組みです。
「親が入院して弱った・・・」と後悔しないために、普段から『ひとり暮らしのおまもり』で対策をされてみてはいかがでしょうか?