一人っ子が親の介護に備えて知っておきたい3つのポイント

一人っ子が親の介護に備えて知っておきたい3つのポイント

親が高齢になるにつれ「将来、介護が心配だ・・・」と不安に感じることはないでしょうか。特に一人っ子の場合「自分だけで面倒を見れるだろうか・・・」と気懸りな方も多いかと思います。実際、国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査」によると、一人っ子の割合は、20年ほど前は10%程度だったのが、2021年には19.7%と2割近くになったというデータがあることから、そのような悩みを抱えている子が増加傾向といえるでしょう。
そこで、今回は一人っ子ならではの介護のお悩みと、いざという時の備えるポイントをご紹介します。

(参考:『一人っ子が急増 過去20年で1割→2割 要因は晩婚化以外にも』)

見守りサービスという選択肢も!

一人っ子ならではの負荷

助け合える兄弟や姉妹がいたとしても、親の介護は何らかの負担がかかるものです。特に一人っ子の場合、どのような負荷がかかる可能性があるのでしょうか?在宅介護エキスパート協会 代表の渋澤氏によると、主に以下の3つがあるといいます。


身体的負荷

高齢者の介護は体力が要ります。そして時として、仕事との両立が難しい状況になります。実際、厚生労働省の雇用動向調査によると、2023年に離職した人介護介護が理由で離職せざる「介護・看護」を理由とする人は約7.3万人で、2000年と比べて約2倍となっているといいます。また、そのうち女性が約77%と圧倒的に多く、年代別では、50歳代が最も多くなっています。
本調査からは、介護離職につながった人に兄弟がいるかどうかは明らかでないのと、高齢化社会が進んでいるという背景もありますが、冒頭でご紹介したように、ここ20年で一人っ子が増えているということから、何らかの相関性があると考えられます。


精神的負荷

自分自身の仕事や家事に加えて、親の介護があると、以下のような精神的負荷がかかりやすいと言います。

・介護の悩みを誰に相談したらわからず孤独に感じる
「親の介護はすべて自分でやらなければ」と思うとプレッシャーになる
・介護と自分の生活を両立するのが難しくストレスが溜まる

上記に共通しているのは、自分一人で抱え込んでしまう場合に陥りやすいといういうことです。
というのも、介護に時間をとられ、友人に会ったり、連絡をとったりする時間もなく、一人で悩みを抱えてしまう可能性があるからです。そして、重篤な場合には、介護鬱を発症してしまうこともあります。
また、親の状態によっても精神的ストレスの度合いは異なります。例えば、親が認知症を患っている場合は、徘徊や被害妄想、場合によっては暴言や暴行などの症状が出ることもあるので、精神的ストレスを感じやすくなる傾向があります。


経済的負荷

在宅介護をする場合でも、施設に入所する場合でも介護保険サービスは利用できますが、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)は利用者負担としてかかります。さらに、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分の全額を自己負担しなければなりません。なお、介護保険サービスを受けるには、手続きが必要です。こちらについては、次の「介護保険サービスを利用する」でご説明します。
介護保険サービス以外にかかる費用として、日常生活で必要な食事代、オムツ代、さらにレクリェーションへの参加費などは当然のことながら自己負担となります。
よって、親が年金や貯金を切り崩しても賄うことができない場合は子が親に経済的援助をするしかありません。

公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、介護に適した住宅へのリフォームや、介護用ベッド、車椅子の購入など「一時的にかかる介護の費用」は平均74万円でした。ただし、施設によっては入所する際に、入居一時金が数百万円必要な場合もあります。一方、介護サービスの利用料、福祉用具のレンタル代、おむつなどの介護用品購入費など「毎月かかる介護費用」の平均は8.3万円でした。毎月支給される国民年金の平均額は5万6252円、会社員や公務員などが加入する年金制度である厚生年金の平均額は14万4366円です。
したがって、親が厚生年金に加入していない場合は、毎月約3万円が不足することとなります。
親の貯金と年金で賄うことができるのが一番ですが、そうでない場合、経済的な負担が子にかかる可能性があります。一人っ子の場合、そのような場合に備えて資金を準備しておかなければならないという負荷がかかります。

(参考:『親の介護を一人っ子がするときの基本!直面する3つの不安と解消法とは?』/『【一人っ子の介護】親の介護をするときの5つの不安と解消法|おすすめの介護サービスも紹介』/『介護離職者はどれくらい? 介護離職をしないための支援制度は?』/『サービスにかかる利用料』/『親の介護費用はいくら?子どもの負担を減らす介護費用の備え方

親の介護に備えて知っておきたい3つのポイント

以下を理解することで、いざという時の介護の負荷を一人っ子でも軽減できます。

介護保険サービスを理解し利用する

一人っ子が介護の負荷がかからないようにするために重要なのは、全て一人でやろうとと気負わないことです。特におすすめしたいのが、先にご紹介した介護保険サービスの利用です。介護保険サービスとは、要介護申請を経て、要支援又は要介護の認定を受けた65歳以上、もしくは40歳~64歳の特定疾病で介護の必要な人が利用できる支援です。所得状況に応じて自己負担の1~3割で専門家による介護保険サービスを受けることができます。介護保険サービスには主に以下の3つの種類があります。

1.居宅サービス
親の住まいへの専門家の訪問による介護、看護、リハビリ、入浴などのサービスを受けることができるサービスです。専門家による介護支援を受けることができるため、子の体力的負担を軽減できます。


2.通所サービス
通所サービスとは、デイサービスやデイケアと呼ばれる場所に通うことで受けられる介護サービスです。なお、デイサービスとデイケアの違いは簡単に言うと以下になります。
内容 デイサービス デイケア
利用目的

・利用者への日常生活支援
・家族の介護負担軽減

・利用者の身体機能の回復や維持など、医療的な支援
対象者

・要介護1~5の人

・要介護1~5の人
・要支援1~2の人

人員体制

・介護職員
・生活相談員が在籍

・医師、看護職員が常駐
・リハビリの専門職がサービスを提供

通所するにあたり、通常送迎サービスも受けられます。さらに車椅子であっても、リフト付きの送迎者で対応してくれるため、親の状況に合わせた対応を期待できます。
さらに、通所サービスを利用することによって、子自身の介護負担を軽減できるだけでなく、親がスタッフや他の利用者と交流することにより、生活習慣病は認知症のリスクの軽減につながります


3.施設サービス
施設サービスは、要介護認定で『要介護』の認定を受けた人が、利用できるサービスです。特別養護老人ホームや老人保健施設などの民間施設よりも安価な費用で入居できるため、子が親を経済的に支援しなければならない場合、施設サービスを利用することで、負担を軽減できます。
例えば、埼玉県志木市が2025年3月現在公開している資料によると、以下のような施設サービスの種類、概算コストとなっています。
施設の種類 目的 入所対象者

自己負担(1割)の目安(1カ月:30日の場合)

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

・自宅では介護が困難な人(主に寝たきりや認知症の人)が入所
・日常生活において常時介護が必要な人を支援

要介護3以上

*要介護1,2でも特別に認められることもある

23,340~27,390円

介護療養型医療施設

医学的管理のもとで看護、介護、リハビリテーションを行う
病状が安定している人に対し、在宅への復帰を支援

要介護1から5の認定を受けた人

23,430円~29,790円

介護医療院

長期療養のための医療と日常生活上の介護が必要な人が入所

要介護1から5の認定を受けた人

24,750円~40,710円

料金において、どの施設においても共通していることが2つあります。それは、要介護の数値が高いほど価格が高くなるということです。また、食費、居住費、日常生活費は別途負担となります。
一人っ子である場合でも、親の状況に合わせた施設を選択し、適切な介護を受けることで負担を軽減できます。

>関連記事『老人ホームと介護施設は何が違う?高齢者向け施設の種類とその費用をご紹介

専門家に相談する

親の介護は、周囲のサポートを得て、まずは自分の精神面を安定させることも重要です。一人っ子で親の介護で助け合える親族がいなくても、介護の相談にのってくれる専門家がいます。以下に主な相談先をご紹介します。

かかりつけの医師に相談する
親が高齢になるにつれ、定期的にクリニックに通っている方も多いかと思います。かかりつけ医師は、血圧などの日々の体調や、食生活、運動などの暮らし方を全体を診てくれています。親の介護で困ったときは、まずは
かかりつけの医師に相談することが望ましいでしょう。
また、病気や怪我による入院がきっかけで介護が必要になる高齢者も少なくありません。そのような場合、大きな病院医療機関内にある相談窓口でも、社会福祉士、精神保健福祉士といった資格を持つ医療ソーシャルワーカーに介護に関する相談ができます。

地域包括支援センター
同センターは、高齢者だけでなく、支える家族や親族も利用でき、病気、介護、金銭的な問題だけでなく、日常生活でのちょっとした心配事まで、多様な相談を受け付けています。多義な内容の相談に対応するため、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)などの資格を持ったスタッフが在籍しており、専門的な知見からアドバイスを受けることができます。
同センターは、原則各市町村に1か所以上設置されており、窓口を含めると全国に7,000以上の施設があるなど地域に密着した支援を受けられます。さらに、総合相談や介護予防ケアマネジメントは、ほとんどの自治体で無料ですので、特に一人っ子にとっては心強い相談相手になるでしょう。

 

親自身と話し合っておく

まだ介護が必要な状態ではないという親であっても、いざそうなったときにどのような対応を親が望んでいるのか、事前に話し合っておくと、精神的な余裕につながります。総合内科医の尾藤先生も「(親)本人や家族が何を希望するのか、より具体的な言葉で話すことが大事」と言います。事前に在宅介護にするのか施設に入所するのか、入所するならどのタイミングかなど事前に話合っておくことで、一人で悩みを抱える状態を回避できます。
さらに国立長寿医療研究センターによると、親が元気なうちに一緒に思い出づくりをすることで、親の認知機能の活性化と楽しかった思い出が精神的な安定にもつながると言います。

(参考:『【在宅介護の強い味方!】デイサービス(通所介護)とは?特徴やサービス内容を表を使って徹底解説』/『地域包括支援センターについて』/『介護サービス(施設サービス)の種類と費用のめやす』/『地域包括支援センター」の役割と利用方法』/『親の介護に直面した時、医師に何を頼れるか。介護と医療の境目は?』/『親のかかりつけ医の上手な頼り方・専門医選びQ&Aも』/『家族との思いでづくりに旅行と考えていますが、もの忘れが激しいので意味のないことでしょうか?』)

 

「ひとり暮らしのおまもり」という選択肢も

中には「高齢な親が実家で一人暮らしをしているけれども、離れて暮らしていてなかなか様子を見に行けない・・・」という一人っ子の方もいるかもしれません。今は元気にしていても、高齢であると急に具合が悪くなったり、転倒するなどし、早期処置ができなかったことがきっかけで介護が必要な状態になる方も少なくありません。
そこでお勧めしたいのが、高齢者の見守りサービス『ひとり暮らしのおまもり』です。『ひとり暮らしのおまもり』には、オプションの『ケアウォッチ』があり、左右についているボタンを同時に押すと、見守る側のスマホに大きな音でアラートを送ることができます。

介護が必要になる前に、家族に助けを求められるように、手軽に導入できる高齢者見守りサービスをご検討してみてはいかがでしょうか。

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