高齢の親が特に病気ではないけれども「最近なんだか弱ってきたな・・・」「痩せてきて気力も落ちているみたい・・・」と感じたことはありませんか?もしかしたらそれは「フレイル」の兆候かもしれません。
フレイルの予防と改善は、人生 100 年時代において、健康寿命を延ばすための重要なポイントとして医学界から提唱されるようになりました。
今回のコラムでは、そもそもフレイルとは何か、またその兆候と予防方法を解説します。
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フレイルとは?
フレイルとは医学用語である英語の「frailty:フレイルティー(虚弱・老衰)」に由来しています。フレイルは、一言でいうと「加齢に伴い心身が虚弱している状態」です。つまり病気ではないけれど、年齢とともに筋力や心身の活力が低下して介護が必要になりやすい虚弱な状況を指し、図にあるように健康と要介護の間に位置しています。
少し怖い話になりますが、フレイル状態になると、身体能力の低下が顕著にあらわれ、死亡率が上昇すると言われています。というのも、フレイルだと以下のような悪循環が起きやすいためです。
【フレイルになると起きる可能性が高くなる悪循環】
健康な人であれば数日で治るような風邪も、フレイル状態ではなかなか治らない
→風邪をこじらせて肺炎を発症する
→体が思うように動かずベッドから転落して骨折する
→入院したときに生活環境の変化に対応できない
→自分の感情をコントロールできなくなる
→心身状態の改善・回復を目指すことができなくなる
→そのまま寝たきり状態になる
このように、フレイル状態にあると、風邪などの小さなきっかけからでも、悪循環が起きる可能性が高まるのです。ですので、フレイルの兆候が見られたら早期に対策をすることが重要です。
(参照元:「【診断チェックリスト】フレイルとは?症状や予防方法を解説」みんなの介護)
フレイルの兆候とは【診断チェックリスト】
それではフレイルの兆候を見逃さないためにはどのようにしたらよいのでしょうか?
東京大学高齢社会総合研究機構の研究によると、フレイルは3つの要素で構成されていると言われています。
①身体的要素
動作が遅くなる、転倒しやすくなる
②精神的要素
認知症やうつ病
③社会的要素
孤独、閉じこもり
具体的には、以下のような状況が1~2つ当てはまるとフレイル予備軍、3つ以上当てはまるとフレイルであると言われています。
【親自身によるフレイル診断:チェックリスト】
- 体重を減らそうとしていないのに、年間で4.5~5kg以上も減少する
- 何をするのも面倒だと感じる日が週に3~4日以上ある
- 歩く速さが遅くなる
- 握力が弱くなる
- 体を動かす機会が減り、身体活動量が低下している
親が近くに暮らしていないとなかなかフレイルの兆候があるのか、子が気づくことは難しいかもしれません。ですが、親の様子から以下のようなことを感じたらフレイルの可能性が高いと言えます。
【子から見た親のフレイル診断:チェックリスト】
- 以前着ていた洋服が大きすぎる
- 声に張りがない
- 買い物に出るのが面倒だと言っている
- ペットボトルの蓋などが開けにくくなったようだ
- あまり外出していないようだ
(参照元:「【診断チェックリスト】フレイルとは?症状や予防方法を解説」みんなの介護)
フレイル予防・改善のポイントとは
フレイルには、予防と改善が重要ですが、それには以下の3つの柱がポイントとされています。
【予防・改善に大切な3つの柱:具体策】
①栄養
・タンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)をとる
・バランスの良い食事
・水分をしっかりとる
・「かむ力」維持→歯科口腔の定期的な管理
②身体活動
・毎日散歩をする
・階段を使う
・軽い筋トレ
③社会参加
・友人と一緒に食事をする
・前向きに社会参加する
・家族以外とおしゃべりする機会を増やす
(参照元:「フレイルの予防と対策」アクティブシニア「食と栄養」研究会)
このようにフレイル対策に重要とされる「栄養」「身体活動」「社会参加」の3つの柱は、高齢者だけでなく、ある意味すべての人の心身の健康に必要なものであると言えます。ただ最近の研究によると、高齢者ならではの難しさとして、高齢になると特に機会を作りにくいとされる「社会活動への参加」頻度の低下が、フレイルの入り口になりやすいと言われています。そこで現在、多くの自治体が高齢者の『介護予防』の機会や場を提供しています。「親があまり出かけないようになったな・・・」と思ったらそのような場への参加を勧めてみてはいかがでしょうか。
>関連記事:「高齢で一人暮らしになっても自宅に住みたい!『介護予防』の活用方法とは」
親のために子ができるフレイル対策とは
親が近くに住んでいれば、どこかに連れていったり、面倒を見ることができるかと思います。ですが、遠くに住んでいる場合、電話やメールなどだけでは、フレイルになりつつある、もしくはなっている親の生活習慣を子の言葉だけで変えることは、なかなか難しいかと思います。場合によっては、親は「子どもにそんなこと言われたくない!」、子は「頑固で変わろうとしない!」と関係性が悪くなってしまう可能性もあります。
そこで、お勧めしたいのが、親の活動をさりげなく見守ることです。『ひとり暮らしのおまもり』は、センサーが設置された場所が「一定時間動いていない」という異常があった時に見守る側のアプリに通知が行くというシステムです。更にオプションでSOS発信ができる「ケアウォッチ」を契約することができます。「ケアウォッチ」は見守られる側が異常を知らせたい時に左右のボタンを同時に押すと、見守る側のスマホに大きな音でアラートを送るという仕組みですが、万歩計の機能もあり、親が一日に歩いた歩数を子がスマホのアプリで確認することができます。更に「ケアウォッチ」には、外出・帰宅通知機能もあるので、親がどれくらい外出をしているのかも把握することができます。
実際、『ひとり暮らしのおまもり』の開発者も、アプリで親の活動がないことに気づいて連絡をしたところ、風邪をひいて寝込んでいたことを知ったと言います。
>関連記事「開発者秘話・裏話①:『ひとり暮らしのおまもり』はどのようにして生まれたのか」
確かに親本人が何か行動を起こす気が無ければ、フレイル対策は難しいと言えます。ですが、先にお伝えしたように、フレイルには精神的な孤独も大きく関係していると言います。親が実家で一人で暮らしていても「見守られている」という安心感を持って暮らせるように『ひとり暮らしのおまもり』を検討してみてはいかがでしょうか?