『見守りサービス』をご検討されているということは、 高齢の親が一人暮らしをしている状況にあるかと思います。「親が元気にしているとは言え、そろそろ心配・・。けれども『住み慣れた自宅で暮らし続けたい』という親の願いも聞いてあげたい。」そのような気懸りを抱えている子は、人口の高齢化率が年々上昇する中、確実に増えていると言えます。
今回のコラムでは、高齢者の現状と、なぜ一人暮らしの高齢者に『見守りサービス』が必要なのかを統計データを交えながらご説明致します。
元気だからこそ高齢でも一人暮らしができる
『高齢化社会』というと、暗い話が多い昨今ですが、実は、日本のお年寄りは世界的にみても、長寿で元気という嬉しい事実もあります。実際に先進国7か国の中で、日本は男女ともに最も平均寿命と健康寿命が長いという結果でした。
(参照元:内閣府「我が国の人口について」)
このように元気な高齢者が多い日本において、年をとっても身の回りのことは自分でしながら、一人暮らしをしている方がたくさんいます。実のところ一人暮らしをしている高齢者は年々増加傾向にあり、平成27年に約59万人だったのに対して令和2年には67万人まで増えています。また65歳以上の人口で占める割合も同時期の比較において、17.7%から19.0%に上昇しています。
(参照元:国税調査結果「一人暮らしの高齢者数」令和2年)
「一人暮らしの高齢者の割合が増える」ということは、一見すると、社会問題であるように感じられるかもしれません。しかしながら、介護施設にも入らず、住み慣れた家で、自立した生活を送れるということは、多くの人にとって理想の老後と言えるのではないでしょうか?このように高齢者でも一人暮らしができるようになったのは、医療の日進月歩もありますが、近年、高齢者の生活をサポートする多様なサービスが生まれたということも考えられます。
例えば、宅配サービス、家事支援サービス、宅配弁当サービス、そして見守りサービスなどです。
多様なサービスがありますが、一人暮らしの高齢者はなぜ『見守りサービス』が必要なのか次にご説明致します。
1.高齢者は自宅での事故が約8割
まず、一人で暮らす親の『見守りサービス』が必要な理由として、高齢者の事故は自宅で起こる割合が圧倒的に多いということです。下記は、新型コロナウィルス発生前のデータですので、家の中で過ごす時間が多くなったここ数年では、自宅での事故の割合が更に増えていることが考えられます。
(参照元:『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故』 独立行政法人国民生活センター 平成 25 年 3 月)
確かに、毎日必ず散歩に行く、趣味も多くて交友関係も広いという高齢の方も多くいます。ですので、「親の外出先での事故が心配・・・。」と感じている方もいるかと思います。ですが、外出先での事故の割合が少ないことと、人目が多いところで事故が発生した場合は、誰かに助けてもらえる可能性が高いということもあり、現在、ほとんどのサービスが見守る範囲として『自宅』のみをカバーしています。
2.高齢者の住宅内での事故は重傷化しやすい
高齢者の『見守りサービス』が必要なもう一つの理由は、自宅での事故は重傷化しやすいということです。
(参照元:『医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故』 独立行政法人国民生活センター 平成 25 年 3 月)
特に75歳以上の高齢者だと、中等症以上の事故が約44%を占めており、65~75歳が約36%であるのに対して圧倒的に割合が高くなっています。
なぜ、特に高齢者の場合、危害程度が重要であるかというと、事故を機に急速に弱ってしまう危険性があるからです。例えば、骨折をして自立した生活ができなくなる、それを機に寝たきりになってしまうということもあり得ます。更には、入院をすることになり、怪我は回復しても、介護施設に入らざるを得ない状態になることも考えられます。
もちろん、事故にあっても、親に意識があり、自分で病院に行く、救急車を呼ぶなど直ぐに対応ができることもあると思います。ですが、転んで立てなくなり、連絡をできないという状況になる可能性もあります。
そこで、一人暮らしをしている高齢者には『見守りサービス』を導入し、日頃から、万が一の事故を早急に知れる状態にしておくことをお勧め致します。
3.一人暮らしの高齢者は不安を抱えている率が高い
一人暮らしをしている高齢者は、「住み慣れた自宅にいつまでも暮らしたい」と思ってはいるものの「高いところに、だんだん手が届かなくなってきた・・・。」など日々の生活において老いを感じる度に「何かあった時はどうしよう」と不安を感じる場面も多くなっていることが考えられます。
実際、一人暮らしをしている60歳以上の高齢者のうち、5割以上が孤立死(誰にも看取られることなく亡くなった後に発見される死)を身近な問題と感じていることが明らかになりました。
同質問に対して、60歳以上の夫婦2人暮らしでは「不安に感じる」と答えた人が31.1%であったのに対して、圧倒的に高い割合でした。
(参照元:令和3年版 高齢社会白書 内閣府)
このように、自立した生活ができていても、半数以上の一人暮らしの高齢者が「他に誰もいない自宅で急に亡くなるのではないか」という不安を抱えながら生活をしています。
ですので、親の自宅に見守りサービスを導入することで、日々の生活において、遠くにいても子に「見守られている」という安心感を与えることができます。
『見守りサービス』は子の心境も変化させる
上記に、一人暮らしをする高齢の親に『見守りサービス』が必要な理由を紹介致しましたが、実はこのサービスを必要なのは、子の方であるともいえます。『見守りサービス』を検討している方には、高齢の親を一人暮らしにせざるお得ない状況にあることに、何となく後ろめたさを感じて方もいると言います。実際、そのように「親に申し訳ないな。」となんとなく感じていたという、ある利用者が、実家に一人暮らしをする母親のために見守りサービスを導入したところ、以前よりも親のことを考えることや、電話をすることが多くなったという心境の変化が起きたと言います。実は、その利用者とは『ひとり暮らしのおまもり』の開発者でもある当社代表の矢野です。その体験談は、以下のインタビュー記事でご紹介しています。
>関連記事:「開発者秘話・裏話①:『ひとり暮らしのおまもり』はどのようにして生まれたのか」
中には他人が運営する『見守りサービス』に親の安否確認を依頼すること自体に抵抗を感じる方もいるかもしれません。ですが、『ひとり暮らしのおまもり』は、親の自宅に取り付けたセンサーの状況を子のスマートフォンにダウンロードしたアプリから見守るというサービスですので、他人に親の様子を知られることもありません。
また、センサーに一定時間*動きがないという異常がある時にだけ、子のスマートフォンに通知が行くシステムで、親の動きを常にモニタリングする仕組みではないため、子に対しても親のプライバシーは守られます。
*5~18時間の間で自由に設定可能
とはいっても、「『見守りサービス』をどうやって親に切り出したらわからない・・・」という方も多いかと思います。そのような場合は、是非、こちらもご一読ください。
>関連記事「見守りサービスを親に切り出すコツとは?子にしてほしいと思う親孝行をご紹介」